2022年6月8日。
世界中の時計ファンを熱狂させる、驚きのニュースが飛び込んできました。
SEIKO 5 Sportsから、新型のGMTモデルが発表されたのです。

この時計が発表された際、海外の有名時計メディアやSNSでは、
「ついにSKX StyleのGMTが出た!」
と一斉に大きな話題となりました。
そして2022年7月の発売当時、
この 「SKX Sports Style GMTモデル(SBSC001 / SBSC003)」 は、
時計ファンの間で凄まじい注目を集める存在となります。
その人気は非常に高く、
初回出荷分は一般の店頭に並ぶ前に、予約注文だけでほぼすべて完売。
まさに、
「待ち望まれていたSKX StyleのGMTが、ついに登場した」
そんな空気に包まれたスタートでした。
SEIKO SKX007・SKX009・SKX011
SEIKO 5 Sports SKX Style GMT(以降GMT)の
デザインのルーツとして避けて通れない時計があります。

左から順に
・SKX007
黒文字盤黒ベゼルの外観から「ブラックボーイ」の愛称で知られたモデルです。
・SKX009
赤と青のベゼルとネイビーの文字盤から「ネイビーボーイ」の愛称のモデルです。
・SKX011
オレンジの文字盤から「オレンジボーイ」の愛称のモデルです。
「SKXシリーズにインスパイアされた」
「SKXシリーズから着想を得たケース・ダイヤル」
ダイバーズからGMTへ生まれ変わったモデル
それがSEIKO 5 Sports SKX Style GMTという事になります。
なぜSKXは世界的人気モデルになったのか?
今ではSEIKOを代表する人気モデルのひとつとして語られるSKXですが、
なぜこれほど多くの人に愛される時計になったのでしょうか?
魅力その1. 本物のダイバーズウォッチなのに価格が安かった
SKXの魅力を語るうえで外せないのが、圧倒的な価格の安さです。
世界を驚かせたのは、その価格です。
海外市場などでは200ドルを下回る価格で購入できることもありました。
安価なのに本格的な機械式ダイバーズウォッチということです。
価格は安くても、中身は決して雰囲気だけの
ダイバーズウォッチではありませんでした。
SKXは200m防水を備え、一方向回転ベゼル、ねじ込み式リューズなどを装備した
ISO 6425に準拠した、本格的なダイバーズウォッチだということです。
当然の事ですが、世界中から手頃な価格で購入できる
優れたダイバーズウォッチとして高く評価されました。
重要なのは、安いだけではなくちゃんとしたダイバーズだったということ。
高級時計のように、傷を気にしながら扱う必要もない。
仕事でも、海でも、旅行でも、気兼ねなく使える。
「気軽に使える本格時計」
この絶妙な立ち位置こそが、
SKXが世界中の多くの時計ファンに受け入れられた、
大きな理由のひとつだったと思います。
魅力その2. 完成されたデザインと丈夫さ
SKXのデザインは、ひと目でSEIKOのダイバーズだと分かる、完成度の高いデザインです。
ケースサイズは、横42.5mm・縦46.0mm。
決して小さな時計ではありません。
それでも、4時位置のリューズや短めのラグによって、実際に腕へ着けてみると、
数字から想像するほど大きく感じにくい。
むしろ、良い意味でこじんまりと腕に収まります。
ビジネスシーンから普段使いまで、TPOを選ばず使いやすいデザインであることもSKXの魅力です。
そして何より、長年にわたって基本デザインをほとんど変えることなく支持され続けたという事実そのものが、このデザインの完成度の高さを物語っていると思います。

4時位置のリューズ、ウエットスーツの手袋をしたままでもつかみやすい分厚いベゼル、
そしてタフな環境にも耐えられるよう、ケースとベルトをつなぐ極太のバネ棒が特徴的です。
シンプルでタフな7S26
搭載されていたのは、SEIKOの自動巻きムーブメント 7S26。
手巻き機能はなく、秒針停止機能もありません。
今の基準で見ると、かなりシンプルなムーブメントです。
しかし、その単純さが逆にSKXのキャラクターにもなりました。
時計を振って動かし、着けて使う。
高級ムーブメントのような華やかさはありませんが、
日常で気兼ねなく使える、丈夫な機械式時計として評価されました。
7S26は21,600振動/時で、約40時間クラスのパワーリザーブを持つ、
実用性を重視したムーブメントでした。
魅力その3. 「MADE IN JAPAN」モデルの存在
SKXシリーズには海外生産モデルだけでなく、
MADE IN JAPAN表記を持つJモデルも存在します。

特にSKX007やSKX009では、一般にJモデルと呼ばれる仕様が知られており、
文字盤下部に 「21JEWELS」「MADE IN JAPAN」 の表記が入ることで、
海外の時計ファンからも特別な存在として見られてきました。
マニアの心をくすぐる、SEIKOの遊び心とも言えます。
SKXそのものは、手頃な価格で購入できる実用時計として評価されたモデルです。
その一方で、同じSKXの中に日本製を意識させるモデルが存在したことは、
コレクションする楽しさをさらに広げました。
海外では 「SEIKO=日本の時計メーカー」 というイメージも強く、
MADE IN JAPANの文字そのものに魅力を感じるファンも少なくありません。
もちろんMADE IN JAPAN表記があるからといって、
時計としての性能が別物になるわけではありません。
それでも、
「同じSKXなら、MADE IN JAPANを選びたい」
そう思わせるだけの魅力があり、Jモデルは現在でも
中古市場やコレクターの間で人気があります。
安価で実用的なダイバーズウォッチでありながら、
日本のSEIKOらしさを感じられる仕様まで選べた。
これもまた、SKXという時計が世界中のファンを
惹きつけた理由のひとつだと思います。
逆にSKX011は海外生産の方がレア

オレンジボーイの中古市場では、「SKX011K」の海外生産モデルの方がレアです。
現在販売されている個体の多くは、「SKX011J」の日本生産モデルとなっています。
なぜSKX011の「Kモデル」は出回っていないのか?
ブラックボーイ(SKX007)やネイビーボーイ(SKX009)には、
「J(日本製)」と「K(海外工場製)」の両方が数多く存在します。
しかし、オレンジボーイ(SKX011)は事情がまったく異なります。
SKX011K(海外製)は、1996年〜1997年頃の約2年間しか生産されなかったと言われています。
もともとオレンジボーイは、他の2色と比べても
圧倒的に生産数が少ないモデルでした。
その中でも、海外組み立ての
「SKX011K(K1 / K2)」は発売初期のごく短い期間で生産を終えたとされています。
そのため、現在では世界的に見ても現存数が非常に少なく、
海外の時計フォーラムなどでも「非常に珍しい個体」として扱われています。
一方で、日本製の
「SKX011J」だけは、その後も2019年の生産終了まで長く販売され続けました。
その結果、現在の中古市場やインターネット上で見かけるオレンジボーイの大半が
「SKX011J(J1)」となっています。
そのため、SKX011を検索すると
ほとんどJモデルばかりが出てくるという状況になっているのです。
ただし、
海外生産モデルの方がレアだからといって、海外生産モデルの方が高いという訳ではありません。
たとえば、リーバイスなのに中国生産。
マニアが欲しがるとは限りません。
SEIKOも同じで、
「MADE IN JAPAN」であることそのものに価値を感じるファンがいます。
希少性だけではなく、どこで作られたSEIKOなのか。
そこまで含めて評価されるのが、時計趣味の面白いところだと思います。
MADE IN JAPANが評価される。
これは日本人にとって、誇りでもあります。
おわりに
SKXは、安くて丈夫なだけのダイバーズウォッチではありませんでした。
完成されたデザイン、実用性、そしてMADE IN JAPANという所有する楽しさまで含めて、
世界中の時計ファンに愛される存在になりました。
そのSKXのデザインを受け継ぎ、ダイバーズからGMTへと生まれ変わったのが、
SEIKO 5 Sports SKX Style GMTです。
では、現在生産されているGMTは、将来SKXと同じような評価を受けるのでしょうか?
かつて世界を驚かせたのは、
「本格的なダイバーズなのに、この価格?」
というSKXの存在でした。
そしてGMTもまた、
「機械式GMTなのに、この価格?」
という驚きを世界の時計ファンに与えました。
セイコー初のダイバーズは、1965年に誕生した「62MAS」です。
その長いSEIKOダイバーズの歴史の中で、SKXは世界的人気を獲得した代表的なモデルとなりました。
そしてSKX Style GMTは、SEIKO 5 Sports初のGMTモデルとして新たな歴史を歩んでいます。
今はまだ現行モデルです。
しかし、いつか生産を終え、次の世代へとバトンを渡す時が来たなら、
このGMTもまた、今とは違った評価を受けるようになるのかもしれません。
SKXのDNAは、GMTへ受け継がれました。
このサイトが、そんなSKX Style GMTの中から
あなたの1本を見つけるお手伝いになれば幸いです。

